紙の研究を発端にして入社

2011-05-02

木村俊之さんが大日本印刷に入社したのは、大学の製紙化学研究室で紙の研究をしていたことが直接の動機だった。「バイオの盛んな時期で、紙に興味を持っていたことから、紙の研究と紙にコート層などの物性を付与する研究を行っていました」という木村さんは、教授か印刷学会に所属していたため、印刷について学ぶ機会があったことも同社に入社する動機の後押しになったという。入社後、すぐに行われた集合研修で、同社が手がけるさまざまな事業分野のなかから、身近な存在であるパッケージ包装の開発・製造に従事することを希望し、包装資材のなかで紙容器を一貫製造している包装事業部の主要工場である横浜工場の技術部に配属された。横浜工場は、1968年に板紙をペースとした紙器を一貫製造する大日本印刷横浜工場としてスタートし、1998年に製造部門の分社化に伴い分離独立し現在に至っている。同社の紙容器の包装資材は主にこの横浜工場と京都の京田辺工場によって製造され、全国規模で製品は供給されている。横浜工場が製造する包装資材は、菓子やトイレタリー製造等の紙容器が中心となっている。こうした紙容器のなかでも木村さんは、入社以来現在まで、酒や清涼飲料水に用いられる液体紙容器と呼ばれているパッケージの開発・製造にたずさわっている。「私の仕事は顧客の要望に応じて、要求物性を満たすパッケージに必要な仕様を選定し、印刷や加工までのプロセス設計を行います。その上で、製造工程および納品先での妥当性他認を行います。このように、パッケージ生産の川上から川下までが守備範囲になります」というように、木村さんは液体紙容器の生産工程のすべてに関わっている。木村さんの仕事の流れは、受注する顧客によって一通りではないが、おおよそ次のようになる。まず、顧客からの発注を受けると、必要とされるパッケLンの耐久性や製造コストなどの条件を踏まえ、包材の設計を行う。必要な紙材をつくるための紙を選定し、その紙への貼り合わせ(ラミネート)の材料を選定する(仕様選定)。その後、印刷インキの選定や加工の条件を設計する。印刷の前工程では、墨や濃い色を重ねてしまうとインキが乾きにくくなったりするなどのトラブルがでるため、どういうふうに色を分解するか、製版の規定をつくることも木村さんの仕事に入っている。こうした、材料・印刷・加工の段取りが組まれると、次に、パッケージの製造工程を確認し、顧客側の持っている機械を含め、製造に必要な生産ラインの条件の構築を行う。そのため、必要があれば、充填機を含めた顧客側の機械の設計も自社の包装事業部内の開発本部と連携して行い、必要なシステムの開発を行う。印刷会社のパッケージ分野の仕事の範躊といえば、紙容器に印刷し、パッケージに加工して納品する程度のことを考えがちだが、木村さんが担当する部署では、パッケージの生産はもちろん、内容物が充填され、製品としてシールされるところまで、まさに「川上から川下まで」が視野に入っている。こうした一貫した生産システムの構築は、顧客の要望から起こし、その工程の前段階で必要な処理や設定を逆算できるメリットがある。例えば、顧客の充填機に見合うように、パッケージ製造工程での加工条件の変更を行うことも可能である。また、印刷・加工・機械設計・機械製作とシステム全体を同社が熟知していることから、トラブルの解決にも迅速に対処することができる。木村さんは顧客からの要望を満たす受注だけではなく、顧客から依頼された課題の解決による製品開発、同社の持っているノウハウや新たな技術を応用した包装の提案といった、いわゆる「ソリューションビジネス」も日常業務としてこなしている。「自分は物づくり、製造現場の支援部隊です。大日本印刷の強みは、多岐にわたる事業部門の技術開発によって、さまざまな要望に自社内の力だけで対応できるところです」と、木村さんは自分の従事している仕事と自社を俯瞰して、こう感想を述べている。

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