リフォームとは何かを考える

2011-10-01

リフォームとは何かを考えるために、一つの事例をご紹介しよう。施主は35歳と32歳の若夫婦。結婚と同時に親に頭金を出してもらい分譲マンションを買って5年。典型的な2LDKの間取りだが、3年前から奥さんも働きに出るようになって、共働きするようになって以来、息苦しさを感じるようになったのだという。家庭でリラックス出来ないという。職場は近代的なオフィスで部署ごとにパーテーションで仕切られ、50坪のフロアに社員は30名。1人あたり1.5坪というスペースはアメリカあたりと比較すると十分とは言えないまでも、日本にあってはまずまずの職場環境である。そこで一日中事務をとっているという。子どもは作らないといい、二人とも仕事に生きがいを感じているのだが、それだけに家庭ではくつろぎたいのだろう。職場はどんなに楽しいところであっても、仕事がどんなに充実していても、やはり無意識のうちに多くの社員や来客の視線を気にしており、緊張を強いられている。それは心地よい緊張であるかもしれない。しかしそれが長く続くようだと知らず知らずのうちにストレスになっていく。やすらげる空間が欲しい、というのは決してぜいたくな悩みではなく、切なるものなのであった。分譲マンションである以上、売れ行きを考えればどうしても最大公約数的なライフスタイルを想定した間取りになる。それはこの夫婦のような場合には、家としての機能がしなくなってしまうのである。ちょうど、サラリーマンをしていてスーツを何着もつくったのに、自由業に転じたためにほとんど着ることがなくなるようなものである。