お礼の言葉もひとひねりするのが噺家の世界

2011-01-11

「亡くなった前のかみさんが秋田出身でしてね、いっしょに秋田へ行ったときに食べたのが最初でした。で、気に入ったんですよ。それからですね、盆暮れの進物に贈りはじめたのは。いやいや死んだ前のかみさんが忘れらんないわけじゃないでよ。そんな……のかみさんに悪いじゃないですか」と、ご存じ圓歌師匠。山の穴……で人気者になったのは、50年も昔。今や押しも押されもせぬ落語界の総帥、落語協会の会長である。となれば、お歳暮の数も半端ではない。「世話になった方々や先輩、寄席の面々、それに弟子にも食わせてやりたいんで、300セットじゃきかない。乾麺だから保存も効くし、うっすらと塩気の混じるあの味ね、評判いいですよ」師匠が選ぶ饂飩を製造するのは「七代佐藤養助」。宗家が門外不出とした製造法を、特別に製造法を伝授されて万延元年(1860)に創業した老舗である。さて、この饂飩を贈られてありかたくも少し困るのが若い噺家だ。お礼の言葉もひとひねりするのが噺家の世界。お歳暮をもらった若い衆は額に汗して頭をひねる。その姿を楽しむ圓歌師。この恒例行事を終えると、寄席の楽屋は新年の準備にかかる。

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